触診の目的
・股関節の屈曲可動域制限がある場合
・大腿骨頭の運動を確認する
股関節屈曲運動時に、骨頭は関節内で後方に滑る。腸腰筋や前方関節包の拘縮が生じていると、後方への滑りが制限され、伸展運動に加えて屈曲運動も制限される。
そのため股関節の運動による大腿骨頭の動きも評価するために”大腿骨頭の運動”を触知できるようにする必要がある。特に伸展運動時の骨頭の前方移動や内外旋運動時の骨頭の運動も確認する。
頸体角と前捻角の理解
触診には上記の理解が必要。大腿骨上端から内側へ4cm、頸体角125〜130°の位置に手を置くと、ゴロッとした骨頭の丸みを触知することができる。
◎頸体角
骨幹軸と頸部軸により構成される前額面上での角度:125〜130°
◎前捻角
大腿骨下部横軸と頸部軸により構成される水平面上の角度:14〜15°
解剖学的特徴
1.寛骨臼蓋は外下方に向きつつ前方に開いているため、股関節伸展位では大腿骨頭の一部は臼蓋からはみ出している。股関節屈曲位では大腿骨頭はすべて被覆される。
2.股関節新転移による関節不安定性は、各種靭帯(腸骨大腿靭帯、恥骨大腿靭帯、坐骨大腿靭帯)により制動され安定化する。
3.大腿骨頭の栄養血管は、大腿深動脈から分岐する内側・外側回旋動脈からの枝(上支帯動脈[SRA],下支帯動脈[IRA])が主体である。大腿骨頸部骨折後の骨頭壊死はこれらの血管の残存程度が影響する
臨床との接点
・変形性股関節症が進行すると大腿骨頭に扁平化等の変形が生じる
・加齢に伴い腰仙部の前弯が減少し骨盤後傾量が増加すると、骨頭被覆が減少することとなり股関節痛が出現することがある。
<関連する疾患>
変形性股関節症、大腿骨頸部骨折、特発性骨頭壊死症、大腿骨頭離断性骨軟骨炎、腰部変形性後弯症など
実際の触診法
1.股関節を屈伸方向へ動かす方法
①背臥位。股関節の過伸展運動が加えられる位置にて。両手掌を用いて大転子を確認する。
②大転子を触診後、頸体角を考慮し125〜130°に指を当てる。この時の指はASISより下ろした垂線より内側に位置するように注意する。
③被験者の股関節へ他動的に過伸展を加えると、深部から前方に突出してくる骨隆起を触れる。これが大腿骨頭。
④大腿骨頭を触診できたら、股関節を徐々に屈曲させると大腿骨頭の突出感が消失する様子も併せて触診する
2.大腿骨を外旋させる方法
①背臥位。大腿骨頭に手を置く。
②股関節の外旋を行い、奥からググッと盛り上がってくる骨頭の動きを触知する。