腸腰筋(スカルパ三角周辺)の触診

  • 2022年5月2日
  • 2022年5月2日
  • Prehab
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触診の目的

・股関節屈曲の筋力低下がある場合

・腸腰筋の筋収縮の確認として

・大腿動脈の拍動の確認として

・鼠径靭帯部での絞扼性神経障害(大腿外側皮神経)と上位腰椎椎間板ヘルニアの鑑別

スカルパ三角の解剖学的特徴

・鼠径靭帯、縫工筋、長内転筋の3辺により構成される三角

・鼠径靭帯は[ASIS-恥骨結節]をつなぐ靭帯。この靭帯は外腹斜筋の停止腱膜により作られる腱弓の発達したもの

・鼠径靭帯の深部を大腿動脈•静脈•神経が通過し、スカルパ三角ではそれぞれが並んで走行している

・鼠径靭帯の深層を通る通路は2つあり、1つは筋裂孔(腸腰筋•大腿神経)、もう1つは血管裂孔(大腿動脈•静脈)がある

・縫工筋と鼠径靭帯により構成される角では、大腿外側皮神経が通過する

スカルパ三角の臨床との接点

・大腿動脈の拍動はスカルパ三角で確認

・大腿動脈のすぐ外側を大腿神経が走行する。

・体幹装具装着後の大腿外側のしびれは、骨盤支持部における大腿外側皮神経の圧迫であることがほとんどであり、注意が必要

実際の触診法

<鼠径靭帯>

1.背臥位。ASISと恥骨結節を確認する。

2.恥骨結節はASISの高さで指を正中に持っていき、そこから軽く圧迫しながら2~3横指下がると確認できる

3.ASISと恥骨結節を結んだ線に鼠径靭帯が位置する。

4.指を頭側から当て、2点を結ぶ線をいったん尾側へ越えてから頭側へ引くように操作すると明瞭に触診可能

<縫工筋>

1.鼠径靭帯を確認する。

2.ASISのやや遠位に当て、縫工筋を確認する。被検者にあぐらをとる動きを行わせ、内下方へ走行する縫工筋を触診する

<長内転筋>

1.鼠径靭帯・縫工筋を確認する。

2.股関節を外転させ長内転筋の緊張を高めたところで、大腿直筋を手掌内に収め、指先を内側後方へ軽く圧迫すると、長内転筋を触れる

<大腿動脈>

1.スカルパ三角を確認する

2.三角形のほぼ中央あたりに指を当て、大腿動脈の拍動を触知する

<大腿神経>

1.大腿動脈を確認する。

2.動脈のすぐ外側へ指を内・外側に動かすと、コロッとした大腿神経を触診することができる

3.やや太めのパスタをイメージする

<大腿外側皮神経>

1.鼠径靭帯と縫工筋により構成される角の部分を、縫工筋側に向かって指をひくと細い神経に触れる

2.強く圧迫しすぎると、大腿の外側に不快感が出現してくるため注意

純粋な股関節の屈曲

腸腰筋は股関節の屈曲•外旋に作用する筋。純粋な股関節屈曲運動を行うためには、股関節屈曲•内旋に作用する中•小殿筋の作用も必要になる。

股関節屈曲に伴い、過度な外旋や内旋が生じる際にはこれらの筋のインバランスが生じている可能性がある。そのため、股関節屈曲運動時の腸腰筋の収縮を確認するとともに、圧痛を確認することが必要。

腸腰筋の解剖学的特徴

・腸骨筋と大腰筋をあわせて腸腰筋

・腸骨筋

[起始]腸骨内面腸骨窩

[停止]大腿骨小転子

[支配神経]大腿神経L1~L4

・大腰筋

[起始](浅頭)T12~L5の椎体・椎間板 (深頭)全ての腰椎の肋骨突起

[停止]大腿骨小転子

[支配神経]大腿神経L1~L4

・スカルパ三角のレベルでは、大腿動脈より外側に位置する

腸腰筋の臨床との接点

・股関節屈曲拘縮の主要因となる。その検査にはThomas testがある

・腸腰筋の拘縮は腰椎の代償的前弯を引き起こし、しばしば腰痛の原因となる

・腰部脊柱管狭窄症に見られる馬尾性間欠跛行は、腸腰筋の拘縮による2次的な腰椎の前弯が下肢症状の発現に関与しているケースも多い

・腸腰筋トレーニングによるバランス機能の改善効果

・走行時のストライドの延長と腸腰筋機能との関係性が注目されている

・腸腰筋の腫脹による大腿神経障害には注意が必要

<関連する疾患>

股関節屈曲拘縮、慢性腰痛、脊柱管狭窄症、変形性股関節症、化膿性腸腰筋炎、腸恥滑液包炎

筋の走行・機能

実際の触診法

【腸腰筋を触れるポイント】

・鼠径靭帯より近位の腸腰筋は腹部内臓の深部にあり、直接触れる事は難しい。スカルパ三角内で大腿動脈より外側では、大腿骨頭の前面を縦走する腸腰筋を簡単に触れることができる。股関節伸展位で触れると骨頭に腸腰筋が押し出されるため、鶉卵大の膨隆感が触診の手ががかりとなる

1.背臥位で行う

①大腿動脈の外側を腸腰筋の走行に直行するように指を移動させながら触れると、腸腰筋が鶉卵大の膨隆として触診することが出来る。この部分が腸腰筋の触診ポイント

②股関節を他動的に屈曲すると、屈曲に伴い膨隆感が消失する様子を触れる。

③指を置いたまま、股関節を約45°屈曲位をする。矢状面に一致した股関節自動屈曲運動を行うと、腸腰筋が収縮する。特に屈曲最終域で明瞭に触診ができる

腸腰筋の拘縮を判別する手段

1.Thomas test(角度を評価可能)

2.ベッド上背臥位で腰椎の前弯の程度を確認する

腸腰筋自体の疼痛に注意

・「股関節の深屈曲時(しゃがみ込み動作)に鼠径部い疼痛を訴える」症例

・「歩行や走行時に立脚後期に鼠径部に疼痛が出る」症例

これらの症例は時折経験する症状。

X線で骨性要因が排除されていれば、その原因として腸腰筋の内圧上昇(腫脹•過緊張•拘縮等による)に注目する。

臨床所見として、下記は取りこぼしたくない。

①腸腰筋自体の圧痛、触診で鶉卵大の腸腰筋が鶏卵大に感じる。

②何となく大腿前面がだるい(大腿神経関連の症状)

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